愛を注いで
夜の闇の底で一人、
貴方の名を呟く度、
乾き切った私の胸に、
冷たい影が落ちます。
孤独に震え、
血に塗れたこの手は、
何を抱けるのでしょうか。
貴方の声は、酷く遠くて。
耳を塞ぐのは自分だと知りながら、
尚も私は暗闇に縋るのです。
貴方の瞳に映るのは、
貴方の温もりを求めた、
…浅ましい私の影。
愛を注いで、と、
貴方に願う度に、
溢れる筈の温もりが、
冷たい涙の雨となるのです。
貴方が私の全てに、
触れてはくれないのは、
この罪深い心の所為ですか?
崩れた瓦礫のような感情が、
胸の中で音もなく崩れ落ちます。
貴方の全てが欲しい…。
私の欲望が、黒く渦巻き、
私を支配します。
心も身体も魂も、
貴方の全て私のものにして、
その吐息の一欠片さえ、
奪い尽くします。
それでも、願ってしまいます。
愛を注いで、と。
貴方を殺めようとしたこの手で、
貴方を求めてしまう。
浅はかな愚かさと、愛と狂気の間で。
夜が更けても、夜が明けても、
貴方の声は届きません。
愛を注ぐ器を失った私には、
貴方から消えていく温もりが、
最期の記憶になるのでしょう。
12/14/2024, 6:44:52 AM