『列車に乗って』
車窓の景色は高層ビルの立ち並ぶ大都市から鉄橋を渡るに連れてのどかな田園風景になっていく。肩が抜けそうになるぐらいにいろんな冊子で重たくなったショッパーバッグを眺めつつSNS上の戦利品報告やコスプレイヤーの写真を見ながら始発駅から終点まで乗り、また乗り換えて遠い家路を進む。
夕闇が迫り街灯がぽつりぽつりと光る田舎の風景は私の故郷によく似ていてほんのりとあたたかな気持ちになる。夜の闇を背景に電飾で飾られた地方都市はきらびやかだが、競争率が激しそうだ。都会にしかないものがあり、田舎にしかないものがある。それらを行き来できる今がとてもありがたいもののように思う。けれど、
「コラボカフェ、うちの近くにもできないかなぁ……」
SNSに写るのはイベントのオフ会で盛り上がるネット上の友達。時々、いやわりとしょっちゅう都会住まいを羨ましく思う。
3/1/2024, 3:23:50 AM