もあ

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月夜

1人で使うにしては広いベッドの上で目が覚めた。
まだ寝足りないと、起きようとしない頭をふってベッドから出る。
ベランダで空を見上げる人影が目に入る。
彼女との間にある透明な壁。
やけに静かな部屋では時計の音が煩くて、逃げるように壁に手を伸ばした。

外に出ると冷たい空気が肺を刺した。
「ちょっと…なんて格好で出てきてんの
ほら、上着貸したげるから着て」
少し呆れた声。彼女の体温が移って暖かい上着が肩にかけられる。
彼女と同じように空を見上げる。
真っ白な息が空にのぼる。
遠くの月が淡く滲む。

あぁ、きっと届かない

3/7/2024, 8:31:26 PM