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何もいらない


「天才」

そう呼ばれる人間になりたかった。

100年に1人の逸材だとか、神に愛された人間だとか。

一度でいいからそんなことを言われてみたい。

それさえ貰えるのなら、他には何もいらない。

口先だけで謙虚な言葉を吐き、裏では愉悦に浸ってみたい。

見下したい、持つ者として、持たざる者を。

可哀想ねと、血反吐を吐くような努力をしたって、あんたは此処へは来れないのよと、いつかに私が言われた言葉を、そっくりそのまま返してやりたい。

嗚呼、嗚呼。

私はこんな人間だから、こんな時にだけ神に祈る。

私が天才と呼ばれないのなら、せめて、せめて

この世の全ての偽りの天才を、地獄の底に落としてください。

そうしてもらえるのなら、他には何もいらないから

4/20/2026, 1:28:08 PM