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ふわっと広がるいい香り。年末になると恋しくなると同時にもう年末かと寂しさを感じる。とりわけ、今年の出来事に思い入れがあるわけじゃないのに。
東北の実家では毎年この時期になると祖母が甘いかぼちゃと湯船にゆずを浮かべて私の帰りを待ってくれていた。
「習わしって訳じゃないけど、この年になって人生の先輩たちの真似事をしてみようと思っただけよ」
といって、季節ごとに美味しいものを準備してくれた。外界の寒い風に晒された身体にしみるゆずの香り。
「ふわあ、、、」
思わずひと息ついてしまう。

今年は実家に帰れない。家々から溢れるこのゆずの香り。優しい思い出が溢れる。
「入浴剤、あったかな?」
足取り軽く自宅に向かう。

12/22/2023, 1:48:47 PM