街の中で目立つ赤髪をみつけた。
見つけて欲しいような、そうでないような複雑な気持ち。
この気持ちに気付いたのはいつからだろうか。
背中合わせで戦える喜び、怪我を隠してもすぐバレてしまうその鋭い洞察力、目が合った時に吸い込まれる綺麗な目。共にいる時間が長くなる程に自覚したくない感情が渦巻いてどうしようもない。
ずっと一緒にいたい。この戦友という関係を無くしたくない。
でも他の誰かといる姿を見たいわけじゃない。
そんな事を考えているうちに彼は街の何処かに消えてしまった。
今更やっぱり声をかければ良かったなんて、虫のいい話。
もう帰ろうかと進行方向を変えたら目の前には赤い髪の彼。
「よぉ、なにしてるんだ?」
思わぬ展開に驚いていると
「暇してるなら今からルードと呑みに行くんだけどお前も一緒に行かないか、と」
断る理由もなく頷くと満足そうに笑う彼に心臓がうるさい。
3人で呑むだけなのにこれからの時間を共有できるのが無性に嬉しい。
「んじゃ行きますか」
さっきまで同じ街を歩いていたはずなのにレノが居ると違う街のように景色に色がつく。
「お腹空いてきた。レノと呑むの楽しみ」
素直に伝えると
「それは嬉しいぞ、と」
すると急に近づいてきて耳元で
「因みにルードが居るのは嘘な。2人で行くぞ、と」
機嫌良く歩き出した彼の少し後ろを歩きながらこの言葉の意味を都合よく捉えてしまう自分はもう後戻り出来ないくらい彼の事が好きなのだろう。
-街-
6/12/2024, 6:24:17 AM