秋、綺麗な紅葉。
私の誕生日。
わたしの名前にも関連してる。
でもわたしは秋が嫌い。
だって双子の姉は私の誕生日に死んだから。
家族は秋が来る度喜ぶ。
私の誕生日だって。
だけど私にとっては呪縛の季節。
いつも秋の始まりは夏が去ってないような気がする。
私の心のじめじめも去ってくれない。
姉は冗談交じりに
「私、秋に死にたいな。だって涼しいし、何より好きだし。」なんて姉が喋ってたのを思い出す。
私はお姉ちゃんにどの季節でも死んで欲しくなかったよ。
ねぇ、なんで、
なんで先に死んじゃったの?
ずっと一緒って言ったじゃん。
死ぬ時は80歳ぐらいで一緒にお墓に入ろって。
話したじゃん。嫌だよ。お姉ちゃん。置いてかないでよ。
私は誕生日が来る度、悲しくて辛くて、
いつも泣いてた。
そしたらお父さんにビンタされた。
「もう忘れなさい。過去のことだから。」
意味分かんないよ。忘れられるわけないじゃん。
私は赤くなった頬を抑えながら両親を見上げる。
あなた達は本当に人間なの?
そう思った。
ある日、また秋が来た。
私は憂鬱で誕生日だと言うのに部屋の外にすら出ないで声を殺して泣いていた。
両親の話す声が聞こえた。
「あの子、いつになったら立ち直るのかしらねぇ。」
「ははっ、あの様子じゃ、あと10年もかかるんじゃないか?」
「まあでも、あいつは病気だったししかも、もう直らなかったらしいし、ちょうど愛してる俺達に殺してもらえて、俺達のお荷物にならなくてよかったじゃないか。ほんと、親孝行ものだな。」
それもそうね。
なんて笑い混じりに喋る。
ゾッとした。こいつらは人間じゃない。
化け物だ、怪物だ。
私は悲しみより怒り、いや、殺意が湧いた。
こんなやつらの娘でいた事が恥ずかしい。
確かに姉は病気を持っていた。
治らないのも知っていた。
でも、それでもまだ希望があると信じていたのに。
しかもお荷物だなんて。
姉は道具なんかじゃない。そもそも人間自体道具として扱うのが間違っている。
そんな胸糞悪い話を聞いたあの秋。
10年後、わたしは家に灯油をまいた。
そして誕生日にあの家で、あのゴミのような人間を集めて、誕生日ケーキのロウソクを灯油をまいておいた場所に急いで行き、ロウソクを手から落とした。その時追いかけてきていたが、わたしは知らんぷりをする。
火は瞬く間に燃え広がる。
私はゴミに言う。
「お父さん、お母さん、鍵はもう全部、閉めちゃったし、鍵、壊しちゃったよ。どうする?」
ゴミは絶望している。
お姉ちゃん、見てる?
わたし、お姉ちゃんの仇をやっと取れるよ。
見ててね、お姉ちゃん。
クズから生まれてきた私も死ぬから。
次も生まれ変わったら、
お姉ちゃんになってほしいな。
煙を思いっきり吸い込んで、わたしは意識を手放した。
9/26/2024, 2:25:32 PM