題.遠くの空へ
はやく、もっとはやく。
あの子がいる街まで。急がないと。
浅葱色の翼はまだ上手に扱えない。
慌ただしく、空を飛ぶ鳥なんて
地上の人間には珍しいだろう。
風を切る音が物足りなくて
もう一度、羽根をふるわせる。
あの子に伝えたいことが山ほどある。
生まれたばかりのこの身体に溢れる、
文章にもほど遠い思いの丈を
あの子に届けなければ。
林檎色のほっぺが脳内をよぎる。
限界を超えてしまう心臓の音がする。
私は「幸せの青い鳥」だ。
悲しみを飛ばす夜明けじゃなくて、
幸せを降らす雨にならなければ。
4/13/2023, 9:46:46 AM