囚人

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私には、叶わなかった夢がある。叶わなかったと言うより、諦めた夢である。それは、優等生になることだった。私は、ずっと惨めに落ちぶれて、誰からも相手にされず、頭も悪くて成績も酷い生徒だ。それだから、優等生には憧れた。特に、生徒会長には憧れた。生徒会長は、こんな惨めな人間にも手を差し伸べて、明るく振舞ってくれる、大袈裟に言えば、私にとっての神のような存在だった。
神を知った時から、私は神に近付くために、努力をした。自宅に帰ってすぐに勉強をするようになった。休まず勉強をした。しかし、神に言われた。
「君はね、僕みたいにはなれないよ。だって君は、もう落ちこぼれてるんだよ。僕になろうとしないでよ。本当に、そういうの、ムカつくよ」
神は、悪魔のような言葉を並べた。私を蔑んだ目で見下げ、嘲笑していた。
嗚呼、神とは、こんなものだったのか。たしかに、私は神にはなれない。誰の神にもなれない。ただ成れ果てるしかない存在だ。神のこの言葉で、私は夢を捨てた。諦めた。全てを諦めることにした。神になって腐るのなら、このまま堕ちて腐る方がマシだと、思ったのだ。

3/17/2025, 11:19:04 AM