せつか

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革命が起こることを〝夜明け〟と表現することがある。
「ニッポンの夜明けぜよ!」とあの人が言ったかどうかは分からないけれど、革新的な技術や考え方が見つかったり開発されたりして、体制がガラリと変わることを夜明けと言うことはままある。
確かにそれまで非効率的だった作業が新しい技術でぐんと効率が上がったり、新しい考え方や価値観が広まってそれまで虐げられてきた人が開放されたりすることは、暗黒だった世界に光が差し込むような、正に夜明けというべき事象なんだろう。
中世を〝暗黒時代〟と表現するのもそういうニュアンスがあるんだと思う。

でも。
それまでの世界は全くの暗黒では無いはずだ。
それまでの世界で微かな光を見出して懸命に生きてきた人達はいる筈だ。
科学技術の発展や新しい価値観の広がりは確かに人間を豊かにするものだけれど。
夜明け前の世界を暗黒だと決めつけたくはない。

暗い空だからこそ星は輝くし、暗い部屋だからこそ蝋燭の灯りは眩い。そんな暗闇の中で仄かに輝いていた人達を、もっと知りたいと私は思う。


END




「夜明け前」

9/13/2024, 2:46:16 PM