お冷の氷が溶けて、カランと寂しく鳴った。
あの人は「待ってて」といって出て行ったきり、帰ってこない。急ぎの電話みたいだったから、話が長引いているのかもしれない。
すっかりぬるくなったホットミルクをすする。
ふと窓の外を見れば、スマホを耳に当てて頭を下げる彼の姿。
やれやれ。
こんなんじゃ、魔法から冷めちゃう。
美味しいものを食べさせてくれるって言うから、ついてきたのにさ。
ミルクの残りを飲み干す。
私は猫の姿に戻ると、あくびをひとつして店から出て行った。
【お題:待ってて】
2/13/2024, 1:22:26 PM