たかなめんたい

Open App

『待ってて』

「待っててね」そう言って、かつて夕暮れ時まで毎日のように遊び尽くした遊び場に、別れを告げたあの日。
いや、本当は待っててなんて明確な別れもなく、いつの間にか離れて、その距離が、二度と埋まらないものになってしまった。

まるで約束を破ったかのような微かな罪悪感だけが、大人になった今の私に残っている。あんなに鮮明だった鉄錆の匂いも、夕暮れのチャイムが鳴る瞬間の焦燥感も、日々の忙しさに塗りつぶされていく。

「待ってて」なんて、本当は遊び場に向けた言葉じゃなかったのかもしれない。それは、あの場所で無邪気に笑っていた「かつての自分」を、そこに繋ぎ止めておきたかっただけの、私のわがままだったのだろう。

2/13/2026, 2:59:59 PM