桜雨

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「なんでこんなことになったんだよ...。」

1人の男の子が海辺で嘆いていた。

そこにはもう1人の男の子の遺体が横たわっていた。

2人は仲睦まじい子達だった。同じ病院で生まれ、同じ学校に通い、同じクラスで学び、同じ部活に入り、同じ趣味にハマり、皆は一同に「生き別れの双子」、「奇跡の幼なじみ」と呼んではやし立てた。

しかし、それは突然終わった。もう1人の男の子が少しずつ1人の男の子と差別化を図ったからだ。段々と2人とも話さなくなりそのまま成長していった。

そして昨日、電話が来た。「あいたい、」そう言って電話を切った。今思えば場所すら言わないのはどうかと思うが、昔のよしみで何となくわかった。

しかし出向くと変わり果てた姿。そっくりだった頃や、離れていった頃とは一段と変わった姿になってしまった。唯一手首に巻かれた一緒に願ったミサンガだけは残されて。

「なんでだよ...、まぁ、お前らしいけどさぁ...。
俺も覚悟決めるか。」

そう言って1人の男の子はもう1人の男の子を抱え眠るように息を止めた。

『なにがあっても俺たちは最後まで一緒にいような。』


その現場に駆けつけた彼らを知る人々はこう唱えた。

「奇跡よ、彼らを起こしてくれ。」

10/2/2022, 5:26:12 PM