窓の向こうで首をもたげた街灯が斜めに光を落としていた。
その光の裏に、秋雨の溜息が静かに沈んでいく。
濡れた路面が赤、黒、黃、白、緑緑緑を反射して滲みながら揺れる。
片隅にある埃かぶったビニール傘は、外気を欲しているかのようだ。
部屋にひっくり返った酒瓶の数だけ、うたかたの夢を浮かべてきた。
射しては消え、射しては消え、ついぞ世界は霧を湛えた。
…おれはそれらすべてを飲み込む。
光も雨も、酒も霧も――漏れなく、身体の至るところから次々と漏れ出していく。
すべてを飲み込み、
波一つ立たない水の中で、ただ祈りを捧げている。
10/18/2025, 5:30:00 PM