小絲さなこ

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「今シーズン最後の絶景」


「もうそんな時期か」

冬季通行止め予告の電光表示を見て呟く。
十一月中旬から来年の四月下旬まで、あの道は通れない。

しばらく通れないとなると、無性に行きたくなるものだ。
だが、今の自分の服装で行くのは躊躇われる。
このまま行ったら確実に寒いだろう。

翌日朝、路面凍結により通行止めと知った。
いつだったか、通行止め期間の数日前に凍結で通行止めになったとき、そのまま冬季通行止めに入ってしまったことを思い出す。
今シーズンはもう行けないかもしれない。

祈るような気持ちで迎えた休日、真冬用の上着を積んで車に乗り込んだ。

朝のうちは霧が濃い。注意報も出ている程だ。
ぼんやりと白い靄のかかる方向へと向かう。

市街地の街路樹の葉は赤茶色。
近くの山は赤と黄色が斑らで、昨日とは違う色に染まっている。

「着く頃には晴れているといいんだが」

今年最後の絶景を見られることを祈り、アクセルを踏んだ。

────また会いましょう

11/14/2024, 7:47:55 AM