圧倒的にペンギン

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【君と最後に会った日】

私が渋谷の駅前で日課の変人ダンスをしていると少年に声をかけられた。

「1000円貸してくれませんか?」

話を聞くと青森に行きたいが財布を落としてしまったのでお金を借りたいらしい。

可哀想に。
同情した私は快く1000円を貸した。

少年はお礼を言い駆け足で何処かに消えていった。

いいことをしたな。
私が幸せを全身で感じていると隣でことの一部始終を見ていた親友の佐伯が言った。

「お前。騙されてるよ」

「え?」

意味がわからない。

「考えてもみろ。1000円で青森に行けるか?」

「あ」
それは確かに。

「しかもこの肌寒い中、薄着だったし。断言するけどあの少年は今頃ほそくえみながらラーメンでもすすってるよ。ご愁傷さま」

なんてことだ。
真実を知った私にこみ上げてきたのは悲しみではなく燃え上がるような怒りだった。
クソガキめ。許さん。

私はこんなこともあろうかとお札につけていた発信機でガキの居場所を特定すると走って追いかけた。


〜1週間後
不眠不休で走り続けた私は青森県の某街で力尽きた。

6/26/2024, 10:40:41 AM