【欲望】
「あ〜、ごっめーん、手が滑っちゃった!」
「あっ、そんな所に居たの?空気が薄くて見えなかったぁ〜」
「ねぇ、邪魔だから退いてくれる?害虫ちゃん。」
あの子は今日も虐められている。可哀想に。私はそう常々思う。けど助けようとはしない。
何故ならぱ、助ける助けない以前に、私が虐めっ子グループの中心だから。
始まりは些細な事だったと思うけど、今は虐めがかなりエスカレートしていて、やめ時を完全に失ってしまった。だが、私はそんな虐められているあの子を見て、私は、私は……
物凄く興奮していた。
「ねぇ?私を見て?貴方を虐めている私を見て。そして、私を恨んで♡」
そう私は心の底から思い願った。
最低な形でも良い。嫌がられても構わない。ただあの子に私という存在をしっかり覚えて、思っていて欲しかった。欲望を言えば、あの子を監禁して全てを管理したい__。
「え、っと、、あの…」
「き、気付かれなくても…その、ぁ、、」
「ごっ、ごめんなさい………」
今日も私は虐められている。毎度毎度酷い虐めだ。花瓶の水をかけられたり、上履きを隠されたり、教科書をハサミで切られたり、虐めは半年前よりもずっとエスカレートしている。私を虐めるのは辞めて、辛いから、怖いから、毎日そう思う。
……けど、私は”あの子”がいる限り、学校に通い続けるつもりだ。
そう、”あの子”とは虐めの中心に居る幼なじみ。
何故あの子は虐めをするようになってしまったのか。そして私はいつから虐めを受けていたのか、
でも何故か、あの子の虐めは
すっごく興奮する。
私に注目してもらえてるみたいで、堪らなく興奮する。きっとこの虐めは、他の人とは成立しない。私はこの人に虐められていたい。ずっと、永遠に。
この虐めは、愛が籠っている様で、善い。
本音を言えば、もっと酷い事をされたいもっと辱めを受けたい。
それが歪んでても良い。捻れてても良い。ただ、私を見て、愛して、興奮して。興奮させて。
sadist & masochist
3/1/2023, 1:47:02 PM