千明@低浮上

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「こら、離れなさい」
「やーだ」
「貴方も仕事でしょう」
「代わりに行って」
「無理言うな」
「まだ一緒にいたい」


シャツの前ボタンを閉めながら、私の背中に抱きついている愛しい彼女に声をかけると、これまた可愛らしい返事が返ってくる。ボタンを閉め終わってネクタイ首に回そうとして後ろから伸びてきた手が私からネクタイを掻っ攫っていった。

「あ、返しなさい」
「やーだよー」

逃げる彼女をすぐに捕まえて、後ろから覆う様に抱き締めると彼女はとても嬉しそうにくすくすと笑った。

「貴方も早く準備をして。一緒に出ますよ」
「んー」

クルッと向きを変えて私の方を向くとぎゅうと抱きついてくる。いつもより高くて、甘えるように出す声が可愛い。

「もっと、ずっと、一緒に居たい」
「次は休みを合わせて1日一緒にいましょうか」

元々大きい目をさらに大きく開かせてまるで宝物をもらった子供のようにキラキラと彼女は目を輝かせた。

「うん!絶対ね!」


#子供のように


10/13/2022, 8:10:31 PM