むかーしむかし。あるところに、一つのかたまりがありました。
かたまりは、延びたり縮んだり、冷えたり温まったりしながら分裂してゆきました。
はじめは、元通り一つに固まろうとすれば、易く一つのかたまりに戻れたのですが、時が経つにつれ、分裂した小さなかたまり達が遠くへ飛んでいってしまうようになりました。一つになるのが難しくなってしまったのです。
一つのかたまりは一つのかたまりであることを忘れ、たくさんの小さな物質になりました。
今でも一つのかたまりは、小さくて多い個のままです。
そしてそれらは、一つのかたまりに戻ることを望みません。むしろ一つに固まることを悪だとみなします。一つのかたまりでなくなったこの世は、ひどく美しいようです。
題:仲間
12/10/2024, 11:27:20 AM