香魅夜

Open App

【友達】


子どもの頃から、
大勢で遊ぶことが苦手だった。

勝ち負けのある遊びが嫌いだった。

嫌いだから、そうとは思っていないつもりでも、
いつも負けていた。

好きこそ物の上手なれ、というが、
勝負ごとは本当に下手で、
うまくいった試しがない。

鬼になると、捕まえてられないから、
延々と鬼だった。

仲間はずれにされることも多かった。

友達はいたけれど、
それは心を許せるほどの仲ではなかった。

ずっと一緒に遊んでいた幼馴染であっても、
新しいグループに私を入れることはなかった。

その夜は泣いた。
どうして、あの子は私を仲間に入れないのか、と。

おそらくは、すべて他人任せだから、
何かあれば呼んでくれるだろうから、
という受け身の姿勢が良くなかったのだろう。

積極的、とは言えない性格だった。
今ならそれがわかるけど、
成人するまで、ずっとわからなかった。

みんな、流されてきたから、
自分から流れを作ることを知らなかった。

友達は、対等な存在。
お互いに影響しあって、育つもの。
受けてばかりでは、相手は成長できない。

何もしてくれない相手、であった私は、
友達甲斐のない存在だっただろう。

成人してから、
一度、本当に好きだった相手から、
手酷く交際を切られた。

両思いだった。
でも、いつしか相手は、
私が親友だと思っていた女性と
交際していた。

夢にも思わなかった。
親友が私の相手を奪うなんて。

相手のことは、一気に冷めた。
でも、親友とは仲違いしたくはなかったから、
正直な気持ちを伝えた。

彼女は、今も私の親友でいてくれる。
一緒に遊ぶこともあるし、食事もする。

私が、私の方から行動を起こしたのは、
それが初めてだったかもしれない。

親友、とはいえ、べったりじゃない。
適度な距離感を保って、
お互いが楽な立ち位置にいる。

そう考えれば、
子供の頃の幼馴染が離れて行ったのは、
私が幼馴染に依存していたからなのだろう、
と思う。

ひとりは寂しい。
でも、だからといって、親友にべったりはしない。
10年音信不通でも、
会えば一気に10年は吹き飛ぶ。

そんな存在を自分で行動して、
手に入れた。


友達。


そして、私に関わっているすべての人に。


このご縁に感謝します。

10/26/2023, 3:31:14 AM