さぼてん

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題 あじさい

散文、書き散らし

私の生まれた北の地では、梅雨はそれほどはっきりしていない。
幼稚園のころには、カレンダーやれんらくちょうなんかで6月のページになると、あじさいのそばでかえるが笑っているのを見るにつけ、なぜあじさい?なぜかえる?と思ったものである。

だから紫陽花のある風景というのも身近ではなくて、6月になったら自然と目で探す…ということもなく。

本州に渡ってきて良いことの一つはそれだと思う。

もちろん、暦や月の花の"常識"とは、暦や常識を"作れる人たちにとっての"暦や常識でしかない。
暦や常識が作られたとき、作った人たちは全国どこでも、誰でも、この季節になるとあの花を探す感覚が好きだし共感できると思っていたんだろう。
素敵な傲慢だと思う。
そう想像する。

だから6月は紫陽花の季節でもいいし、よさこいの季節でもいいし、カビの季節でもいい。
夏が来る。

6/14/2024, 9:59:45 AM