眠れないほど暑い夜。
ベランダで貴方とアイスクリームを食べながら星を見た。
眠れないほど寒い夜は、くっついて湯たんぽを挟んで温めあった。
眠れないほど不安な夜は、貴方に電話をして気を紛らせて、眠れないほど嬉しい夜は、暗い布団の中に貴方の笑顔を見た気がした。
今はそのどれも感じない。
ただ眠れないほどの寂しさが、夜毎に募っていくばかり。
貴方の写真の前にロックグラスを置いて、眠れない夜をやり過ごす。
私の嫌いな煙草をやめてくれなかった貴方。
私が興味無いアーティストのプレゼンを延々していた貴方。
私を置いて死んでしまった貴方。
私から寂しい以外の感情を奪っていった貴方。
それでもやっぱり、愛してる。
END
「眠れないほど」
12/5/2024, 3:13:32 PM