烏羽美空朗

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俺の宝物と言えば、何だろうか?
黄ばんだぬいぐるみ。手作りの栞とブックカバー。二十五代目のアイデア帳。白い烏の風切羽。ケサランパサラン。カラカラのペン先。俺には似合わない赤いマフラー……。

ぱっと思い浮かぶ物は実際に物体としてこの部屋にある物ばかりだ。
曲がりなりにも小説家なら、こういう時に抽象的で、幻想的な、ステンドガラスで描かれた女神のように美しい物をあげられれば良いのだが……。

やはり、俺の宝物はこの部屋のあちこちに飾られ、時に戸棚の奥の箱にしまわれている物ばかりである。
そして、その宝物に連なる記憶の総て。自分自身の脳内にしまわれている沢山の映像達も、宝物であることは確かだ。

宝物

11/20/2022, 11:03:35 AM