真夜中。
目が覚めた私は、窓から見える桜を見ていた。
雲で少し隠れた空の満月の光が、花が少なくなった桜を照らす。
私はずっと、動き行く空を横目に桜を見ていた。
その桜の木の花は、少し青っぽい、暗い色の空にだんだんと奪われるように散っていく。
散った花びらが、眩しい、早朝の出たばかりの太陽の前を何度も横切っていく。
遂に、花が無くなってしまった。
それと同時に、私は『残念だけど、しょうがない。』と思った。
私は、昔、こんな癖があった。
物に『~さん』や『~ちゃん』とつけていた。
今となっては馬鹿のようだが、あの何も知らない純粋な時だからこそできたことだろう。
じゃあね、桜ちゃん。また来年。
同時に、昔の友達のことを思い出した。
もう、会えないだろうけど。
人生も、桜のようだ。
『桜散る』
4/17/2023, 11:47:48 AM