マネージャーに、「今度のバラエティ番組で、宝物の紹介コーナーがあるらしいので、用意しておいてもらえますか?」と言われた。
「ああ、」とから返事をして、その後は親父から貰った壺を持っていった。収録では、周りから「凄いですねぇ」なんて言われて、その場しのぎのでっち上げエピソードを喋った。
本当の宝物なんて、見せられるわけがない。
宝は隠されてこその宝だろ。
そう思って家に帰り、おもむろに机の隣の引き出しを開ける。中にあるのは、なんてことないただの根付け、小さな鈴のついた地味な根付けだ。
こんなもの見せたって、スタジオの奴らは苦笑いで精一杯だろう。哀しいかな。
ただ、俺の手元で、あいつのことを思い出させながら光ってくれればよいのだから。
11/20/2023, 10:46:51 PM