どんなに素人から始めても、一万時間さえ積めば誰でもプロフェッショナルになれる、という法則をご存知であろうか。
ある日先生から教わったその言葉に、本当に嫌気が差したのを覚えている。誰が好き好んで一万時間もひとつのことに注げるか、と。いくら好きなことでも、限度というのは必ずあるものだ。
私は、好きなことがよく分からない。上を見れば、同年代でも、どれにおいても、優れた人はごまんといる。
無謀ではないか。
そうやって諦めて何にも興味の食指を付けずに引いては譲ったふりで、傷つかないようにツルツルで空白だらけの心のまま。
そんな私でさえ、もがいてきた人生の軌跡はあるものだ。譲れないものが、ひとつ以上心に根付いては花を開いて自生して、それを育んだり、ときには引っこ抜こうと苦しんだり、傷つけては光に向かって伸びていく花の成長を感じたり。
そんな苦労を経験してきた花だけを、私は信じている。だから、まだまだ未熟な萌芽を、静かに根っこから優しく覆ってあげる。
心根は綿あめとマシュマロだけ、みたいなあたたかくてフワフワしてる、私だけのあまあまな世界なんだからね。
4/30/2025, 12:20:38 PM