「んー、右がいいよね」
大学からの帰り道、コンビニに寄った。
僕は左がいいと思った。
「だよね、僕も右」
また合わせてしまった。
店員さんにお金を渡す君の後ろ姿がいとおしかった。
コンビニを出て、君は少し先で跳ねるように歩いている。
右手に君が選んだのり塩味のお菓子とお酒が何本か。
ビニール袋が君に合わせて揺れている。
「じゃあ私、こっちだから」
君は振り向いて右を指す。
「え?ああ、」
甘かった。一緒に選んだのだから、てっきり一緒に食べるものだと思っていた。
「あの、じゃあ、おれ、こっちだから」
僕は左の道を選んだ。
今度は合わせられなかった。
6/8/2024, 3:15:55 PM