貴方のつくる音が好きだった。あなたの思想が、世界が、脳みそが。貴方が存在しているというだけで、救われるような気持ちだった。貴方のつくる世界が、どれだけ小さくともこの世界のどこかに存在してくれている。それだけでよかった。
貴方は、私がこの星で呼吸を重ねる理由だった。
貴方は、いつだって完璧だった。素晴らしい音を、正解より正解の音を、きたないせかいに美しく産みおとしていた。
ステージが終わると貴方は、やさしく、はかなく、つよく、うつくしく咲き誇った音をいくつか置いて逃げるようにそこを引き上げてしまう。あぁ会いたい。つたえたい。貴方が、貴方の音が、美しかったこと。
《盗作》
No.10【君の奏でる音楽】
8/12/2024, 12:42:22 PM