午前0時。
今日も、現れてくれなかった。
少し派手な窓を開ける。
はぁ、夜の空気は心地が良い。
『日付が変わる頃、必ず僕が貴方を迎えに参ります。』
"必ず"
彼が最後に残した言葉を頭で再生させる。
もう、1年がたつ頃か…
私は、ある貴族の一人娘。
昔から両親が過保護で、外にはあまり出られない。
それに合わせて、恋愛なんてしてこなかった。
けど、私はある1人の執事に恋をした。
私達は話していくうちに、仲良くなり、しだいに、恋人同士になった。
けど、ある日、ほかのメイドに関係がバレてしまった。
そして、彼はクビになった。
私がクビにしたようなもの。
「早く、迎えに来てよ。」
そんな声は、誰にも聞こえなかった。
「迎えに来ましたよ。お嬢様。」
えっ?
今、幻聴?彼がここに来れるはずがない。
声がした後ろを振り向く。
そこには、紛れもない、彼がいた。
「ふふっ、随分待たせちゃいました。」
「な、なんで、ここに…」
緊張で手が震える。
まさか、会えるなんて。
「ご主人に、『なんでもします。全て期待に応えますので、どうか、お嬢様との婚約を認めることは出来ないでしょうか』って、何度も、何度も申したら、許してくださいました。」
お父様…
すると、彼は静かに跪(ヒザマツ)いた。
「私と、結婚してください。」
嘘…指輪まで用意してくれたの…?
もちろん、私の返事は…
「喜んでっ!」
外は真っ暗な中、私達の周りは真夜中の夜空の星達よりも輝いていた。
《ミッドナイト》
1/26/2023, 10:24:53 AM