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夜の海…

とにかくどうしようもないくらい寂しくて、寂しくて辛くて、悲しかった。

でも、新しい門出をその気持ちと同じ位に応援したいと思ったし、笑顔で見送りたいとも思った。

本当は寂しくて油断すると顔が歪む…気を張っていないと自然とつつつつ…と涙が流れてきてしまう、そんな態度を察してお別れの場を用意してくれていた。

お互い忙しい身、仕事の終わり時間もまちまちなのに、それぞれ、早めに仕事を切り上げて…中には合わせて休暇を取って駆けつけてくれる人もちらほらいた。

隣町に行くだけの、夕方開始の一泊旅行なんだけれど…皆が気を利かせて、私の好きな海の街へ。

カラ元気な私を筆頭に、美味しい海の幸とお酒を愉しもう!食べる、話す、食べる、笑う、飲む、笑う、食べる、飲む、飲む、飲む…泣く。

そこに居合わせた全く関係のない居酒屋の常連客らしき人の側に行き、延々とどうして悲しいのか、なんで寂しいのかをお酒片手に絡み酒…。

周りの仲間は、迷惑かけた私の代わりに頭を下げ、事情を話す…当の本人は、話を聞いてくれてありがとう!と握手、握手。

それでも、誰も責めなかった…どれ程我慢していたのかを知っていたから、皆困った顔をしながら笑ってくれていた。

宿に行く前に、夜の海へ…
あぁ…本当に居なくなっちゃうのか…どれほど支えてくれたか…どんなに慰めて一緒に頑張ってきたか…辛い時、どれほど助けて貰ったか…

昼間の海と違って、静かにザザザ…とぷとぷ…ザザザ…と優しい波の音を聞いては、どんどん溢れてくる気持ちに蓋が出来ず、ありがとう…ありがとうを繰り返した私。

最後に残っていた同期が別の道へ歩むのに、寂しい、寂しいと自分の気持ちばかりを押し付けていちゃ駄目だな…と、真っ暗な夜の海の優しい波の音を聞いて、ムクッと立ち上がり、にっこり笑って宿へ向かう。

私だけじゃなかったじゃない…
皆も、我慢してたんだね…

普段滅多に弱音や泣き言を言わない、人前で号泣したりしない私が、子供のように泣きじゃくってるのを見て、とうとう皆も伝染したんだな。

たまには、大人になっても大泣きして翌日の瞼がぽんぽこぽんに腫れたっていいじゃないか!
そんな日もあるよ、そんな日があってもいいんだよ。

お別れに夜の海近くへ泊まりに行くよ!企画は、成功。仲間に、感謝だ。

翌日は勿論、全員、瞼を腫らして朝、大笑いした。

あの時、離職した同期は、その後、念願の社長になった…

いまだに、どんな時もお別れは、やっぱり慣れないなぁ…
今更、気付く…私って寂しがり屋だったんだなぁ…
知らなかった自分の弱さを、発見…



*読んで下さり ありがとうございます*




8/15/2023, 11:50:58 AM