語り部シルヴァ

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友達

「ねえねえ!今日は一緒に遊ぼ!」
「ごめん...今日は別のお友達と
あそぶ予定があるからまた明日ね!」
「わかったぁ。ばいばい!」

ばいばい!と手を振りながら走り出す。
校門を出てすぐ左に。
まっすぐ走って山をめざす。
山の神社近くをぐるっと回った先の大きなほらあな。

立ち入りきんしの札の前で立ち止まり、
辺りをキョロキョロ見渡す。
だれもいないことをかくにんしてほらあなに入る。

私の足音と水がはねる音。
遠くからいびきしか聞こえない...

少し歩いてボソッとつぶやく。
「こんにちはねぼすけさん。」

私の声に反応していびきは止まり、
まっくらな奥からモゾモゾと何かが動く。
すでに私の目の前に来ていて大きな体をすりつける。
ザワザワしてて柔らかい毛並み。

「今日もといてあげるね」

ランドセルから少し大きめのクシを取り出してそれに近づくと頭っぽい部分を私の手元に寄せて
さっきのいびきより優しい鼻いきをもらす。

水がはねるの音、やさしい鼻いき、
くらいけどあたたかいひざ...
クシで毛並みを整えているこのしゅんかんが今の楽しみ。

私しか知らない友達とのこの時間が大好きだ。

語り部シルヴァ

10/25/2024, 11:27:31 AM