かのこ

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『もしもタイムマシンがあったなら』2023.07.22

 テレビで『もしもタイムマシンがあったら』という特集をやっていた。専門家の先生を交えて、芸人やタレントが面白おかしくトークしている。
 内容は難しくてほとんど分からなかったが、時間を早く遅く進めることは可能らしい。ただ、そのためには、光の速さと重力が必要になってくるそうだ。そして、未来に行くことも、理論的には出来ないわけではなくて云々。
 そこまで聞いて寝落ちてしまった。
 翌日、学校でそんな番組があったことを話すと、彼はおかしそうに笑う。
「お前にしては難しい番組見てんだな」
 なんて笑いながら言って涙を拭った。
「お前ならどうする?」
 ひとのことを笑ったくせに、興味深そうにオレを見つめる。
 どうするもこうするも、考えたことなかった。
 素直に言えば、彼はまたゲラゲラと笑う。
 失礼なやつだと憤りながら、逆にどうするのか問えば、彼はそうだなあと考え込む。
「わかんね」
 そう一言。今度は眉を下げて笑った。
「ああ、でも」
 急に思い立ったように、彼はぽんっと手を打った。
「今日の晩飯は知りてぇな」
 タイムマシンをつかって知りたいことが、そんなことだなんて。
 全面的に同意せざるを得なかった。

7/22/2023, 11:34:03 AM