ミキミヤ

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冬の早朝のホーム。私は一人、白い息を吐きながら、始発電車を待つ。周囲はまだ暗いが、遠くに見える山の稜線が少し白みはじめていた。
ポケットからスマホを取り出して、乗り換え案内を確認する。初めて行く場所へ、初めての一人きりでの遠出。胸の中では、不安とワクワクが入り混じっていた。
じっと待っていると、始発電車がやってきた。開くドアを待って乗りこんで、ひとり、ボックスシートに腰掛けた。右手の窓越しにホームから見えたのと同じ白んだ空が見える。
電車はゆっくりと走り出した。落ち着かない気持ちで窓の外を見ていると、やがて山の稜線が一層輝いて、眩しい日が顔を出した。日の出だ。がらんとして寂しい車内に、眩しい日差しが差し込んでくる。窓越しにもそれは暖かくて、私はなんだかホッとした。心をざわつかせていた不安の影は、朝焼けに照らされて消え去ったようだった。

少しの間、窓の外に見入っていた私は、慌ててスマホを取り出して、カメラを窓へ向けた。カメラアプリを起動して、目の前の景色を切り取る。
旅の始まり、一番最初の写真は、眩しく暖かい日の出の景色になった。

1/4/2025, 9:23:16 AM