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「私とあなたじゃ住む世界が違う 第八話」

零也は、仕事で事務所に来ていた。澄、優斗、将生の3人も一緒だった。
「4人揃ったな」
「何で呼びたしたんだろうね?」
澄は、不思議そうに事務所のスタッフを見ていた。
「多分、オリ曲の事でじゃないか?」
優斗は意気込んでいた。
「…オリ曲、出来た奴、居る?」
将生は、不安そうだった。
「……」
4人は、黙り込んだ。

「フロンティアウォーカーの皆さん、全員集まりましたね」
事務所のスタッフが4人の所に来た。
「僕達を呼び出した理由って何ですか?」
澄は、スタッフに聞いた。
「そろそろ、グループ全体のオリジナル曲を考えてもらおうかなって呼び出したんだけど…」
「すみません、その件なんですが…」
「俺達、誰も個人のオリ曲を作ってないんです」
「…あ、そうなの?」
場の雰囲気は、固まってしまった。
「いくら、君達高校生だって言っても、デビューして半年近く経つのにオリ曲誰も作ってないって…」
「すみません、全員学校生活に追われているんです」
零也は、すかさず弁明した。
「あのね、ライバルの事務所の話になるけど、林檎王子やパズルだって、デビューして間もない頃にはどんな形であれ、オリ曲は作っていたよ?彼らの中には君達と同い年でオリ曲作ってた人も居るんだからね?」
「(耐えろ、説教と言う拷問はもうすぐ終わる…)」
4人は、ただ、時が過ぎるのを待っていた。

「…はぁ、長かった」
将生は、疲れた表情だった。
「俺達、歌い手向いてるのかな…?」
優斗は、少し考えていた。
「デビューして、これじゃあな…」
零也も、疲れた表情だった。
「仕方無いよ。僕達、学校生活もあるんだし…」
澄は、フォローする役目に回っていた。
「…?君達も歌い手?」
突然、女子大生が4人に話しかけた。
「誰?」
「私、ケイ。グループに所属してないけど歌い手」
ケイは、自己紹介をした。
「ケイって、今、物凄い売れてる歌い手じゃん!」
優斗は、ケイの事を知っていて、本人に会って驚いた。
「ケイに会えて、メッチャ嬉しいぜ!」
零也は、いきなり笑顔になった。
「ケイって、学校生活と仕事、どうやって両立してるのかな?」
澄は、思った事をつぶやいた。
「何とか両立してる。君達も頑張んな。すぐには売れないよ。諦めるな」
ケイはそう言うと、どこかへと行ってしまった。
「ケイ、カッコいい!」
澄達はテンションが上がっていた。
「ケイ、マジで好きになりそうなんだけど…」
零也は、ケイにときめきを感じていた。

9/6/2022, 10:35:33 AM