今日の天気予報は晴ところにより雨、降水確率は10%だった。
「んあ?」
学校からの帰り道、晴れた空からぽつり、ぽつりと雨粒が頬に落ちてくる。ああ、天気予報当たったんだね。と言うか。
「傘持ってきてないんだけど……」
しかも、近くに雨宿り出来るような場所もないし。とりあえず、走ればいいのかな。
「せーのっ……っと?」
走り出す一瞬前。後ろからとん、と肩を叩かれる。
「……走るの?」
「うん、このまま濡れて帰ったら洗濯とか大変だし、玄関から私の部屋までのルートが傷んじゃうし、まああとはどうでもいいけど風邪ひくかも知れないし」
「風邪はどうでもいいんだ……」
真顔でそう言う私に、引きつったような笑顔を浮かべる彼女。
「ここ、入っていいよ」
彼女はさしている傘を指してそう言う。
「いいの?」
「ええ、このまま放って帰って風邪ひいたら大変でしょ?」
「それは別にそこまででも」
「いいから入りなさい」
あ、キレた。
「……ありがとね」
「構わないわよ、先生?」
彼女は、笑いながらそう言う。
「ほんと、ありがと」
誰にも聞こえない声で、私は呟く。
世界でたった一人の、愛しい妹へ。
3/24/2024, 12:12:39 PM