冬晴れの晴天の中、リュックサックを背に一人街道を進む。周囲に人は居らず、澄んだ空気と開放感が気持ち良い。
旅立ちの際に餞別と称して握らされた本日付の新聞を見れば、いつもの如く高々と勇者達の活躍について書き連ねてあった。彼らも元気そうで何よりだ。
特段することもなく、歩を進めながら適当に流し読んでいると新聞の隅の方にコラムとして以前借りていた寮長の言葉が載っているのを見つけた。
『夢とは過去に失敗した時の成功分岐ではなく、まだ達成していないもののことだ。夢はいつも現実の先にあるものじゃからな』
相変わらず口がうまいなと笑みが溢れる。少し前まで私もそれに惑わされていたというのは当然、ここだけの話である。
「夢と現実」
12/5/2023, 8:58:54 AM