私はあなたを鉛筆で描く。
下書きも、パーツも、表情も、
色の濃淡を使って。
あなたは私のことを知らない。
私が同じ学校の1年後輩だってこと、
私が美術部に所属していること。
あなたを描いている私も、
実はあなたのことをよく知らないの。
あなたは野球部のキャッチャー。
顔を守るフェイスマスクが、
いつもあなたの表情を隠してしまうの。
だけど、ピッチャーのボールを捕球するあなたの姿勢が、
素敵だなって思うから、
私は急いで鉛筆で描くよ。
色を乗せる暇もないほど、
あなたの一瞬を、
何回も何十回も、何百回も、
切り取りたいの。
打席に立ったあなたの横顔に、
眩しく陽が差した。
眩しさはスケッチブックの白。
陰影は鉛筆の濃淡。
応援席からの写生は遠くて、
ホントはもっと近づきたいと思ってる。
モノクロ
9/30/2025, 10:43:56 AM