「秘密の場所で待ち合わせ」彼は前カゴにリュックを投げ入れ、自転車で坂を颯爽と下っていった。踵を返そうとして、はたとやめる。あいつはどの秘密の場所のことを言ったのだろう。潰れかけの駄菓子屋、それともたまたま見つけた裏山にあるベンチ、はたまた砂浜の岩礁の裏か、あるいは…。 遠くに見えるあいつの背中が、こんなに恋しいと思ったことはない。
3/8/2025, 11:24:54 AM