暗い道を歩いていた。
どこまでも続く一本道。辺りには何の気配もなく、一人きり。
何故ここにいるのか、ここが何処なのかも分からない。
ただ行かなければという焦燥感だけで、足は只管に前へと進んでいく。
何も聞こえない。何も見えない。
僅かな不安が込み上げ、足が次第に重くなる。立ち止まりこそしないが、その歩みは先ほどよりも明らかに遅い。
不意に、目の前に小さな光の点が見えた。遥か遠くに灯りがあるらしい。
その光を認め、息を呑む。変化に怯えるように、体が震える。
けれど足は止まらない。ゆっくりだが、確かに光へ向かい歩いていく。
――おいで。
声が聞こえた。頭に直接響く声。
意思に反して、歩みが速くなっていく。行くのが怖いと怯える心を無視して、体は速く行きたいのだと進んでいく。
「おいで」
光の向こう側から声がした。気づけば小さな光の点は大きくなり、口を開いて待ち構えているようだ。
行くのが怖い。
行かないと苦しい。
二つの気持ちが渦を巻く。立ち止まることもできずに光の元へと速足になり。
大きく開いた光の中へ、飛び込むように駆け出した。
12/23/2025, 9:45:10 AM