たぬたぬちゃがま

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ぴこーんと軽快な電子音が鳴る。
昔々の、子供たちの間で大流行した携帯ゲーム。
「化石みたいなゲームしてる人がいる……」
「ファミコン世代に怒られるぞー」
電子音と共にゲーム内のモンスターが成長する。モノクロのドットゲームが今や世界を股にかけるゲームになったんだから驚きだ。
「この頃は自転車出すにもいちいちリュック開く必要があったんだよなー」
「セレクトで1番上に持ってくるんでしょ、2番目がつりざお」
年の離れた兄がそんなことを言っていた気がする。
「お前もやる?交換しないと進化しないやついる」
「通信ケーブルないから無理でしょ」
ケーブルがあるだけで英雄だったんだよ、と従姉が懐かしそうに言っていた。初代からやっている世代は特別な感情を持つのかもしれない。
「この2人の旅から始まったんだね」
「あとからもう1人加わるから3人だな」
色の三原色でもある3人。これからカラフルな色を編み出していくと考えたらいいネーミングだったのかもしれない。
「いかん。宇宙ヒトデが強すぎる。火力おかしい」
「レベル上げがんばれ」
ピコピコと電子音が繰り出す物語を、小さな窓から2人で眺めていた。



【Red,Green,Blue】

9/11/2025, 10:00:41 AM