ほむら

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うたた寝から目を覚ますと、かすかに彼女の声が聞こえた。耳を澄ますと、何か歌を歌っている様子だった。もっと近くで聴きたくなった俺は、その声を頼りに彼女の元へ向かった。

彼女の部屋の扉をそっと開けると、歌うことに夢中になっている彼女の姿があった。美しい声が優しい旋律を奏でていて、思わず目を細めて聴き入っていた。しばらくすると、こちらの存在に気づいたのか彼女は歌うのを止めた。

「あら、起こしちゃった?」

彼女が心配そうな顔で俺を見てそう聞いてきた。起きてから彼女の歌に気づいたし、もっと聴きたいと思ったので、俺は微笑みを浮かべて伝えた。

「いいえ、大丈夫ですよ。それより、もっと貴方の美しい歌声を聴かせてくださいな?」
「仕方ないなぁ、特別だよ?」

彼女は照れくさそうな表情でそう言ったが、すぐに落ち着いた表情になって続きを歌い始めた。俺は熱心に耳を傾けてその美しい歌声を聴いていた。

テーマ「耳を澄ますと」

5/4/2024, 11:59:21 AM