お題「遠くの街へ」
私はこの街しか知らない
公園やショッピングモール、学校や公民館、神社もあるし浜辺だってある。
この街で人生の一生を過ごしたって何不自由無い生活が送れる気がする。
だから他の県に行きたいとも思わないし他の県の事を知りたいとも思わなかった。
「え、転校?」
突然の親からの告白
3ヶ月後に沖縄に引っ越す事になった。
今は中学1年生の11月。
2年生の春から沖縄の学生になる事が決まった。
「私ちゃんは親の都合で後3ヶ月で沖縄に転校することが決まりました、なのでそれまで皆んなで私ちゃんといっぱい思い出を作りましょう」
担任の先生が朝のホームルームの時間に、クラスの皆んなに私の転校の報告をした。
転校する事が決まっても私の学校生活は普段と変わらない。
授業を受け休憩時間は友達とお喋りして、放課後は部活をして、部活後や休日には友達とお出かけしたり。いつも通りの日常だ。
「実感が湧かない」
自宅のベッドに転がり呟いた
私はこの街しか知らない、他県にも行った事が無い。修学旅行だって2年生だから経験してない
「あ、皆んなと修学旅行行けないのか…」
修学旅行だけじゃなく、部活も勉強も遊びも今の友達と出来無いんだ。そう思うと少し悲しくなった
絶交する訳じゃないし、電話やLINEだって出来る
別に寂しくない。会いに行こうと思えば会いに行ける。
「沖縄から神奈川ってどのくらいかかるんだろ」
飛行機なのか船なのか、金額はどのくらいかかるのか全く分からないけど。夏休みは絶対神奈川の友達に会いに行こうと思った。
転校が近づくにつれ胃が痛くなってきた
新しい学校で友達はできるのだろうか
勉強も不安だ。学校によって教科書も授業の進み具合も違うはず
部活はどうしよう。
そういや沖縄って暑いのかな
転校の事を考える度に、寂しさや不安が募ってく。
だけど少しワクワクしてる自分もいた。
「とりあえず沖縄に着いたらまだ始業式前だから観光したいな!」
ーーーーーー
無事に中学1年生が終わった。
終業式の時はクラスのみんながサプライズしてくれた。
クラスの皆んなが書いてくれた寄せ書きも貰ったし。先生からもクラスの皆んなで撮った写真が入ったフォトフレームを貰った
野外活動の時の写真だった
「私ちゃんはうちの卒業アルバムは貰えないから、皆んなの顔忘れないように先生からのプレゼントです」
先生がそう言って私は気付いた
そっか、私が卒業する中学は転校先の学校になるんだ。
クラスのみんなとは終業式の日はたくさん喋った。
仲が良かった子や、全く喋った事なかった子ともたくさん喋った
「楽しかったな」
沖縄に到着して約半年が経っていた。
友達はすぐ出来た。
周りの子が気さくに喋りかけてくれたのですぐ打ち解けられた。
勉強の方は。教科書は全然違うし、前の学校でやった事を授業して、逆にやったとこない範囲もあったりで少し大変だった。
部活もなんとかやっていけそうだ
「にしても沖縄って案外暑くないんだね。風が強いし乾燥してるからかな?それに海綺麗すぎ!想像通り!」
1人沖縄の浜辺に来てはしゃいでいた
夏休みになっていた
神奈川に行きたかったが、部活が忙しくてまとまった時間が取れない
なにより交通費が高かった事を知って、気軽に行けそうにないと思った
「まあ、連絡はしてるからいっか。大学受験で神奈川の大学に行けるように頑張ろっと」
神奈川の大学に行ったら近いから皆んなにまた会いに行けるかも!と考えたが、その思考はすぐ消えた
「でも神奈川じゃなくてもいっか、もっと遠くの大学に行ってもいいかも、んー、次は北海道だな!」
私は心の内で密かに大学を北海道にすると決意した
完
2/28/2023, 12:19:35 PM