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死体遺棄

〈冬になったら〉

木の葉を踏んで歩く。
上を見上げると一杯にまたたく星空。
低い気温に冷まされた体温も、登っている間に
上がってきた。
そのまま登っていると、山の頂上に着く。
有名な山ではなく、名前も付いていないような
どこにでもある普通の山。
そこの頂上には、寂れた神社がある。
鳥居の朱も落ちて木の木目が見える。
お賽銭箱も無く、草も生え、落ち葉も積み重なって
いる。
そんな神社。
軽く手を合わせてから、裏手に回る。
ここに来るのは1年振り。
最初は無我夢中でここに来たから、神社なんてあると気づかなかった。
でも、あれ以上動かす事は出来なかった。
神域を穢す行為となってしまって申し訳ない。
極楽浄土には行けないだろうなと思うけど、
そもそもあれをしてしまった時点で行けないこと
なんて確定していた。

裏手に回ったからと言って、特に風景は変わらない。
よかった。
今年もそのままだ。
じっと地面を見遣るけど、大丈夫だった。
風が吹き、周りの木々がざわめく。
きっと歓迎されていない。当たり前だ。
でも、どうしようもない。今掘り起こしたって。
申し訳なさを感じながら、来た方、表側に戻る。

今度はしっかり2礼2拍手をする。
すみません。

そして1礼。

神社に背を向けて、登ってきた道を下っていく。
またここに来るとしたら、1年後だろう。

今年になっても見つからなければ、今後見つかることも無いだろう。
むしろ、自分が赴くことで見つかってしまうかもしれない。
だけどもう。
冬とはそういう季節になってしまった。

11/17/2024, 11:38:29 AM