『夜明け前』
ふと、目が覚める。
時計は4時を指していた。
ここ最近、この時間に目を覚ますことが多い。
これ以上眠れる気がしなくて、でも、物音をたてたら家族が起きてしまうかもしれないから、布団からも出られない。
少しだけカーテンを開けて、外を覗く。
窓の向こうはまだ暗い。「夜」だ。
これは私の感覚だけれど、眠る時の「夜」と、目が覚めた時の「夜」は、どこか感じが違うような気がする。
この世界には、自分一人しか存在しない。誰かに迷惑をかけることも無い。自分が、ちゃんと呼吸をしているのが分かる。
目が覚めたあとの「夜」は、そんな風に感じることが多い。
目を閉じて、遠くの方まで耳をすますと、自分がどこにいるのか分からなくなる。夜に溶けていく。
ずっと、この時間が続いたらいいと思う。
そんなことが起こらないことは、知っている。
それでも、この時間が訪れるたびに、思ってしまう。
「朝日なんて、昇らなくていい。」
9/13/2023, 10:52:55 AM