towa_noburu

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「遠雷」
雷鳴が耳を掠めた。思いの外遠くの方だ。
雷の音が聞こえると、どうしても1秒、2秒、3秒と時間を測ってしまう。
夏休み中、高校生になってもまだ僕はその癖が抜けなかった。
じりじりと肌を焼く暑さが少し静まる夕方に遠雷は鳴り響いた。
その雷の一瞬の音楽は世界を揺るがし僕の鼓膜を突き破る。
雷の音が嫌いなのに、また今日も時間を数えてしまう。そして、今日は遠いな…なんて呟くたびに、ふとよぎるのは小学生の時の友人の顔だ。
中学に入ってから離れてしまった彼もまた雷が鳴るたびに時間を数えているのだろうか。
なんて、物思いに耽りながら、僕は駅前のコンビニから、帰宅した。 

8/24/2025, 9:57:27 AM