ぬくもりの記憶
ハロウィンだろう。幼少期の写真を見返した中に強烈な黄緑。ベロア生地でこの色を好んで着る幼少期など、記憶にない。
ベロア生地なのだ。まず量産されるコスチュームに(子供のハロウィン用なら尚更)使われる物ではない。
母はかつて手芸部だったと言っていた。そこまで熱心ではないと言いつつ、部活対抗リレーにウエディングドレスで走ったという話を教えてくれた。
あのころの10月末は寒かった。小さい私は、おそらく色味を合わせるために染められたインナーも着ていた。
レース生地と針金で出来た羽。「トリックオアトリート」の「ト」を言いかけて絶妙な顔をしてるけど、それはティンカーベルの仮装だった。
母の背を越した。
母の新しいPCは私がセットアップをした。
受け入れ難い母の発言に、反論ではなく無視を選ぶようになった。
それでも母は
ストーブを付けるように。とか、
カレーはちゃんと温めた?とか。
記憶ではない。まだ記憶ではない。
しかし、いつか記憶になってしまう。
その時私は、そのぬくもりを認識するだろう。
12/10/2025, 1:51:04 PM