ももく

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 毎日、楽しいけれど、どこか何か足りないような気がしていた。
 それは、この年の子どもにはまったく似つかわしくないこと⸺つまり、わたしは可愛くない子どもだったのかもしれないと今では思う。

 しかしあの時あの場所で、わたしは何かに吸い寄せられ、そこへ向かったのだ。
 何かに呼ばれた、という感覚のほうが正しいのかもしれない。
 そこが水が流れる場所だというのは、少しオーバーサイズの靴がさらわれてから気がついた。
 お母さんに怒られる!
 幼いわたしは我にかえって、流れる靴を拾おうとした。

 ずっと忘れていたこと。
 ⸺思い出したこと。


『きらめき』

9/5/2024, 6:34:35 AM