桜井呪理

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すれ違い

すれ違い。

みんな私を置いていく。

おんなじフリしてやってきたのに。

また叶わなかった。

小学校で、仲良しの子と約束した。

マラソン大会、一緒にゴールしようねって。

仲良しの子は約束を破って、私より先にゴールした。

そして今私が抱えているのは、その子の遺影だ。


私は病気だ。

歳を取らなくなる病気。

何度も大切な人を失った。

今度こそ一緒にいられると思った。

小学3年生から変わらない体は、特別なスーツで隠した。

仲良しの子と付き合って、結婚できた時は、ようやく一緒に歩ける人ができたと思ったのに。

君は最後、幸せになってと言った。

鈍いよ。

君に置いてかれちゃ、もう幸せになれない。

嘘つき。

一緒にいるって言ったのに。

ひどいよ、2回も先にゴールしちゃうなんて。

ナイフを持つ。

ああ、この病気の死因が、自殺が殆どだと言っていたのは、こういうことか。

やっとすれ違いしないで済むね。

赤く染まったワンピースを見つめながら、少女は目を閉じた。



10/20/2024, 9:26:19 AM