「静かな情熱」
お帰りなさい。
貴方が世界で一番大好きです。
でも、この気持ちは誰にも伝えません。
迷惑をかけてまうので。
わがままですが私の事、忘れないでくださいね。
2103.4.18
初めてお会いしたのはいつでしたか?
確か、春でしたね。
もう二年と半年がたちました。
もう私たちは高校三年生。
青春だ。なんてふざけていられるほど余裕はありません。
貴方が、居たから私はここまで学校に通い続けていられました。
一年生の時、私は少しいじめられていました。
そんな私を助けてくれたのは貴方。
貴方が居たから生きていられたのです。
大袈裟だと思いますか?
でもね、それだけ私にとって貴方は大きな存在だったんですよ。でも、それにもちょっとした理由があるんです。
いつかはもう忘れてしまいましたが、確か一年生の夏頃、私は屋上に行ったんです。
特に理由はありません。
ただただ高い所に行きたかったんです。
ここで飛び降りたら、いじめっ子達が罪悪感を抱いて何かしら後悔するんじゃないかって思わなかったわけではありません。
でも自殺なんてするつもりはありませんでした。
屋上にいって思い出した事がありました。
小学校六年生の時。
私の学校である噂が流れ始めました。
隣の小学校で自ら屋上から飛び降りたら生徒がいて
その生徒が亡くなった。という噂です。
この噂を聞いた担任の先生が私たちに話をしてくれました。
内容は、簡単に言うと「死ぬな。」
生きたいと言ったら死ねって言われて、死にたいって言ったら生きて欲しいって言う不安定で手のひら返しが当たり前な世界に生まれた。
それは仕方がない事実。
でもそんな世界でも生きていて欲しいって泣きながら話す先生の姿が目に焼き付いていて、先生の事を思い出すと死ねなくなりました。
他にも、自殺をする時は死のうと決めて死ぬのではなくふと、死のうと思うそうです。
だから周りの人が助けてを求めているなら助けてあげないといけない。
でもね本人が生きたいって思わないといくら助けても意味がないのです。
でも、貴方は死にたかった私を助けてくれたのです。
感謝してもしきれないほどです。
それから一年がたったある日、貴方は病気にかかりました。
「来日病」症状は身体に白い毛のようなものが生えてきて、いつかは死に至る。
治療法は未だにわかっておらず、発症すると
コールドスリープで眠るしかありません。
貴方はコールドスリープが怖いと言っていましたが、私はなにもできませんでした。
結局貴方は私に行ってきますとだけ言って眠ってしまいました。
それから私は貴方を助けたいと言う想いだけで医学を
必死に学びました。
貴方がしてくれたことを返すために。
これも何十年も前の話。
そして私は今日海外に行きます。
治療法を探すために。
私はもう死ぬかもしれません。
紛争に巻き込まれるかもしれません。
何より私はもう年を取りました。
でも私は行きます。
貴方がくれた命。貴方のために使います。
貴方にお帰りなさいと言えない事が何よりも心残り
です。
いつかは貴方を救います。
私でも他の人でも。
少し寂しい。いえ、凄く寂しいです。
最後に手紙を書かせてください。
私のわがままですけどね。
そろそろ行きます。
行ってきます。
4/17/2025, 1:25:33 PM