ももく

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 誰かに呼ばれている気がして、歩きだしてみた。
 ここがどういう所なのかも、どこまで広がっているのかも、何一つわからない。
 耳を澄ますと、かすかに水の音が聞こえてくる。
 それは草すら生えていない砂まみれのこの世界で、確かに生命が息づいている証拠だった。
 とても澄んだ、どこまでもきれいな水。
 この世界の生命は、自らの命を燃やし、代々この水を守ってきているのだろうか。
 自分たちがどれほど小さな存在なのか、見につまされる。
 この世に生まれてはいけないものなどないのだ。
 その意味が、それぞれによって違うだけで。


『声が聞こえる』

9/23/2024, 9:31:29 AM